カント(Kant):空間と時間

純粋理性批判』の第1部「超越論的感性論」において、人間の認識は、認識する対象によって意識が触発されるという受動的な契機から始まるとされる。
これは「直観」と呼ばれる。
つまり、「直観」とは、対象=外的な物体が感官(感覚器官)を通して意識に受容されることである。

直観には、上記のような直観=「外部感官」によってもたらされる「外的直観」の他に、「内部感官」によってもたらされる「内的直観」がある。
「内的直観」とは、記憶や思考のような意識自身に関する直観である。

次に、こうした直観は、内容と形式に分けられる。
内容というのは感官に与えられる刺激のことだが、その刺激がどのようなものとして受け取られるかは形式によって決められるのだという。
カントによれば、外部感官の形式は「空間」、内部感官の形式は「時間」である。
「空間」は、そのなかに外界のさまざまな事物が包摂されて存在するように認識することを可能にする形式である。
一方、「時間」は、無限に進む1つの流れのなかに、受け取られた刺激を「継起的」に(次々に)付け加えていくことを可能にする形式である。
そして、この「空間」と「時間」は、人間の意識の外にある形式では決してなく、意識の内にア・プリオリに備わっている固有の形式だとされるのである。

こうしたカントの考え方に従えば、人間が意識において受容できるのは、空間と時間というア・プリオリな認識形式を通して受容される対象(世界)のみに限られるのであり、空間と時間という形式を通らない対象は受容されないということになる。
このことをカントは、“人間にとって「物自体」(※1)の認識は拒まれており、「現象」である自然の認識のみが許されている”と表現した。

(※1)「物自体」とは、経験することはできないが、存在することを否定できない対象のことである。

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