ユスティノス(Justinus)

ユスティノス(100頃〜164頃)は、パレスチナのネアポリス出身のキリスト教哲学者である。

はじめユスティノスは、ストア派の哲学、その後、ペリパトス学派、ピタゴラス学派の哲学を学び、次にプラトン主義に触れた。
このときユスティノスは、イデアの観想によって、みずからの思考に翼が与えられ、神を観ることへの大きな期待を抱いたという。
しかし、あるキリスト教徒の老人との出会いが、ユスティノスに大きな転機をもたらす。
その老人は、ユスティノスに対して、こう言ったという——
“プラトン主義者は神を観てはいるが、神に生きているのではない。神の教えを真実に行なう者たちではない”
この老人の言葉に感化されたユスティノスは、キリスト教徒として生きる決意をする。

ユスティノスは、キリスト教徒としてはじめて、ギリシア哲学とキリスト教を融合しようとした。
しかし、そのスタンスは、フィロンがギリシア哲学をユダヤ教のなかに融合させようとしたのとは異なり、哲学として真理を求め、キリスト教こそがその真理を充分に備えているというものであった。
つまり、“神はロゴスを媒介として世界と関わる”と主張したフィロンに対して、ユスティノスは、“イエス・キリストこそが完全なロゴスであり、普遍的・神的ロゴス、純粋知性、完全な真理である”と主張したのである。
そして、キリスト教こそが唯一の真理であると考えたユスティノスは、それまでの哲学はキリスト教の真理にいたるプロセスであり、そうした哲学のなかに真理が断片的に見出せるのは、「種子的ロゴス」があったからだと唱えた。
こうしたユスティノスの考え方を「種子的ロゴス論」と呼ぶ。

ちなみに、ユスティノスは、論破した哲学者の陰謀によって命を絶たれるという最期(さいご)を迎えたため、「殉教者ユスティノス」とも呼ばれている。

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