[ブックガイド]近世哲学篇

各哲学者に関する解説のなかで取り上げた著作(翻訳)とは別に、入門者にとって有益な近世哲学に関する書籍を紹介したい。

近世哲学全体を見渡した入門書のオススメは、『西洋近世哲学史』(量義治 著)である。
近世哲学萌芽期であるルネサンス時代の哲学者エラスムスから近代哲学のヘーゲルにいたる哲学の流れがキリスト教との関連において概観されているが、近世哲学が中心に扱われている。
もともとは放送大学のテキストであったために読みやすく、要点が正確に押さえられている。
信頼できるオーソドックスな入門書だ。
哲学者たちのワンダーランド』(上野修 著)は、スピノザの研究者である著者が、最新の研究動向を踏まえながら、デカルト、スピノザ、ホッブズ、ライプニッツのそれぞれの哲学の要点を端的に紹介している。
講談社のPR誌の連載がベースになっているため、予備知識がない読者でも比較的スムーズに読み進めていくことができるはずだ。
西洋哲学史——古代から中世へ』の続編『西洋哲学史——近代から現代へ』(熊野純彦 著)も、一読の価値がある。
タイトルのとおり近代哲学から現代哲学までがカバーされているが、だからといってデカルトからヒュームにいたる近世哲学の概説が簡単に済まされているわけではない。
各哲学が生まれたプロセスを原典からの引用に即してたどり直しているため、大陸合理論とイギリス経験論の各哲学者の発想の核を的確に呑み込むことができるのが特徴だ。

各哲学者の哲学について、さらに詳細に学習したいという場合は、デカルトであれば『デカルト入門』(小林道夫 著)『デカルト』(斎藤慶典 著)『デカルト『方法序説』を読む』(谷川多佳子 著)、スピノザであれば『スピノザ』『スピノザの世界』(2冊ともに上野修 著)、ライプニッツであれば『ライプニッツ』(山内志朗 著)、ロックであれば『ロック』(田中浩 著)、ヒュームであれば『ヒューム』(泉谷周三郎 著)『ヒューム』(杖下隆英 著)が、それぞれオススメである。

◀︎ ヒューム:同一性の否定
カント:生涯と著作 ▶︎

【西洋哲学史のキホン:目次】