倫理学は哲学や宗教とどう違うのか?

倫理学は、哲学の一分野である。
そのため、倫理学は時に、「道徳哲学」や「実践哲学」とも呼ばれる。
しかし、倫理学は(狭い意味での)哲学とは扱う対象が異なるのである。

哲学(広い意味での哲学)が対象としているのは、「真・善・美」である。
このうち「真」(世界のほんとうの姿)を探究するのが狭い意味での哲学である。
これに対して、倫理学は「善」(だれにとっても善いこと)を探究する
ちなみに、「美」(だれにとっても美しいもの)を探究するのは美学である。

それでは、倫理学は宗教とはどう違うのか?
倫理学と宗教は、どちらも規範について問題にする。
しかし、その扱い方が異なる。
倫理学は、すでに述べたように、規範の根拠を問う。
つまり、「なぜ他人の物を盗むのは悪いのか?」と問うのである。
一方、宗教は、規範そのものを提示する。
つまり、「他人の物を盗んではいけない」と戒(いまし)めるのである。

また、宗教と倫理学には、営みのスタイルにおいて決定的な相違がある。
宗教には、その教えにおいて、〝それは絶対に疑えないという一点〟がある。
たとえば、キリスト教における三位一体や、仏教における縁起がそうである。
しかし、倫理学では、いかに偉大な哲学者や倫理学者の学説であっても、まるで卓袱台(ちゃぶだい)をひっくり返すように根本的に疑い、批判することができるのである。

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