【環境倫理学】世代間倫理(intergenerational ethics)

世代間倫理とは?

私たちは、資源をエネルギーや生活必需品などに変えながら生きている。
しかし、その資源は有限であり、このまま消費しつづければ、やがては未来世代のための資源は枯渇する。
それをわかっていながら、あるいは見て見ぬふりをしながら、私たち現在世代が資源を消費しつづけるのは身勝手である。
そのため、現在世代は、未来世代の生存を保証する責任と義務を負っており、未来世代が不利益を被らないようにしなければならない——
こうした考え方を「世代間倫理」という。

世代間倫理が問題とされるのは、石油や天然ガスなどの資源の枯渇に限られない。
たとえば、原子力発電においては放射性廃棄物を処理しなければならないが、現在のところ放射性廃棄物を無害化することは不可能で、地中に埋めるなどしたあと、何万年も経なければ無害化することはできない。
そのため、現在世代の利益のために原子力発電を続けることは未来世代に大きな負債を負わせることだと考える人びとは少なくなく、〝原子力発電の割合を減らす〟〝再生可能エネルギーへの変換を進める〟といった選択が議論されている。

こうした世代間倫理における義務を主張する人びとは、親が子に対して一方的な義務を負うのと同じことだとみなしている。

世代間倫理への批判

一方、こうした世代間倫理の考え方には批判もある。
まず、未来世代は誰を指すのかという批判である。
子どもたち世代か、それとも100年後、あるいは200年後の人類なのかというものである。
また、まだ姿形もなく、ニーズが不明確な未来世代に対して、どのような義務を果たすのかという批判もある。
さらには、そもそもまだ存在さえしていない未来世代に対する義務など成り立たないとする批判もある。

このように、まだ存在しない未来世代の人びとを考慮に入れなければならない世代間倫理は、現存する現在世代の人びとだけを考慮すればいい従来の倫理学にくらべ、〝非対称的〟〝非相互的〟である。
では、非相互的で一方的な関係にある未来世代への責任や義務の根拠については、どのように考えればいいのか?
ハンス・ヨナスによる「未来倫理」のような概念は提起されているものの、そうした根拠づけが課題となっている。

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