【功利主義】ベンサム(Bentham):快楽計算

「功利性の原理」が「快楽」(快)と「苦痛」(苦)を行為の善悪の判断基準にすることは、「【功利主義】ベンサム:功利性の原理」で紹介した。
それでは、快をもたらす行為の選択肢が複数ある場合は、どのように判断すればいいのだろうか?

たとえば今、行為Aを選ぶべきか、行為Bを選ぶべきか迷っているとする。
どちらの行為を選んでも快がもたらされるのだが、ベンサムによれば、こうした場合は、より大きな快をもたらす行為を選ぶべきだという。
そのためには、行為Aと行為Bがそれぞれどれくらいの量の快をもたらすかを知り、比較する必要がある。
こうした必要性にもとづいてベンサムが考えたのが、「快楽計算」である。

ベンサムによれば、快には肉体的な快楽や感覚的な快楽、富や名声を得たときの快、人に親切にしたり神に仕えたりしたときに感じる快など、いろいろな快があるが、それらの快のあいだに質の差はないという。
そう考えれば、それぞれの快の量を計算し、比較することができる。

次に、ベンサムは、「快楽計算」に必要な単位を7つ列挙した。

 (1)強さ:その快はどれくらい強いか
 (2)持続性:その快はどれくらい持続するか
 (3)確実性:その快がもたらされるのはどれくらい確実か
 (4)近接度:その快はどれくらいすぐにもたらされるか
 (5)多産性:その快から別の新たな快がどれくらいもたらされるか
 (6)純粋性:その快に伴う苦はどれくらい少ないか
 (7)範囲:その快はどれくらい多くの人へ行き渡るか

上記の7つの単位に即して快の総量を出し、同時にもたらされる苦の総和を差し引くことで、その行為の快の量を計算できる。
この計算を行為Aと行為Bについて行なえば、どちらの行為を選ぶべきかを決めることができる。
つまり、行為Aを選んだほうが、もたらされる快の量が多いのであれば、行為Aこそが、その場合において〝正しく善い行為〟だと言えるのである。

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