【徳倫理学】アウグスティヌス(Augustinus)

徳倫理学の源流とされるソクラテスプラトンアリストテレス以降、徳に関する考察は、中世から近代においては傍流となった。
しかし、そのなかでも、徳に関して目立った主張をしたのが、中世においてはアウグスティヌスであった。

アウグスティヌス(354〜430)は、キリスト教の教父である。
彼は、プラトンの哲学に大きな影響を受けながら、キリスト教の教義を確立した。
特に、神、子(イエス)、聖霊がそれぞれ3つの位格(ペルソナ)でありながら、1つの神格であると唱えた「三位一体論」は有名である。

そのアウグスティヌスによれば、人間は原罪を負っているため、その自由意志は善を行おうとしても、欲望に惑わされ、悪を行なってしまう。
そんな人間の自由意志を善へ導くのは、人間自身の力ではなく、ただ「神の恩寵」だけである。
その「神の恩寵」が教会を通してもたらされれば、人間は幸福になれる。
だから、人間は、パウロ(初期キリスト教の伝道者)が言ったように、「神の正義はイエスの贖い(あがない)によって示された」と信仰し、「神の国の到来と救い」を希望し、「神への愛と隣人への愛」を実践しなければならない。
アウグスティヌスは、これら「信仰」「希望」「」を、キリスト教の「三元徳」として、「(ギリシアの)四元徳」(※1)の上位に位置づけた。

これら7つの徳は「七元徳」とも呼ばれるが、中世において重要な徳として論じられた。

(※1)「【徳倫理学】プラトン:魂の三区分説と四元徳」を参照

※関連ページ:「アウグスティヌス:自由意志論

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