【徳倫理学】アリストテレス(Aristoteles):友愛と正義

アリストテレスは、プラトンと同じように、ポリスの理想のあり方について考えた。(※1)

アリストテレスにとって、人間は本来、善をめざす存在であるから、人びとが集まり、「最高善」の実現を目的とするポリス(古代ギリシアの都市国家)を持つのは、自然なことであった(「人間は、その自然の本性において、ポリス的動物である」)。
人びとは、そうしたポリスの市民として共同生活を送る。
そのなかで市民同士は、よい関係を築く必要がある。
そのために重要だとアリストテレスが考えたのが、倫理的徳(習性的徳)に含まれる「友愛」と「正義」であった。

アリストテレスによれば、「友愛」とは、〝互いが互いに好意を抱き、幸福になるように願い合い、そのことを互いが知っていること〟である。
一方の「正義」は、ポリスの法に従うという「全体的正義」と、富の分配や公正さをめざす、より日常生活に関わりが深い「部分的正義」から成る。
「部分的正義」は、さらに、働きや功績、能力などに応じて報酬や名誉を与える「配分的正義」と、裁判や取引などにおいて利害や損得を公正に保つ「調整的正義」(矯正的正義)に分けられる。

しかしながら、アリストテレスによれば、もしもポリスの市民たちがお互いに「友愛」を充分に発揮していれば、「正義」は必要ない。
逆に、彼らが「正義」を充分に発揮していても、その場合は「友愛」が必要である。
つまり、アリストテレスは、〝友愛にもとづいて市民が連帯すれば、おのずと正義は実現する〟と考えたのである。

(※1)プラトンの考え方については、「【徳倫理学】プラトン:魂の三区分説と四元徳」を参照

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