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カントによれば、人間の認識は、感覚内容と形式から構成されるという。
まず、感覚器官を通して感覚内容が与えられる。
しかし、この感覚内容は、そのままでは認識にまではいたらない。
なぜなら、複数の内容がバラバラなままだからである。
だから、内容を秩序立てる必要がある。
その役割をするのが形式である。
形式とは、空間と時間のことである。
この空間と時間の形式に沿って複数の感覚内容は秩序立てられ、認識へといたる。
たとえば、目の前にコップがあるとすると、コップの表面のツヤツヤ感や透明感、大きさ、素材感などの内容がバラバラに受け取られ、それらを形式が能動的に秩序立て、コップだと認識するのである。

カント以前の認識論においては、人間の認識は、対象が存在しているのを受動的に捉えると考えていた。
つまり、認識が対象に従うのである。
これに対し、カントは、対象を感覚し、そこに対象が存在していると思うから対象は存在すると考えた。
つまり、対象が認識に従うのである。

〝対象が認識に従う〟というこの発想の転換を、カントは自分で「コペルニクス的転回」と呼んだのである。


ちなみに、コペルニクスとは、地球のまわりを太陽が回るとする天動説を否定し、太陽のまわりを地球が回るとする地動説を唱えた天文学者である。
彼の説は、当時の常識を180度転回させた。
それにちなんで、カントは自説の特徴を表現するのにコペルニクスの名を冠したのである。